障害者福祉施設のいま

精神障害は身近な病気

日本において精神障害者は約300万人います。これは100人中約3人の割合になります。
それだけ精神障害は私たちの誰もがなりやすく、想像以上に身近なのです。
そして精神障害を患ったとしても、完全に復帰とはいかなくても、たいていは一般の方と同じように働けるようになります。

精神障害者の仕事をサポートする制度として(1)就労移行支援、(2)就労継続支援があります。前者の移行支援では、一般企業への就職が可能と見込まれる場合に、就業へ「移行する」ための一定の訓練サービスを受けて、その後一般企業へ就職に取り組むことになります。
後者の継続支援は、一般企業への就職が困難とされる場合に、就労の場を提供する支援です。いわゆる作業所と呼ばれる施設での内職や軽作業が多いです。

 

精神障害者の雇用の増加、一方で改善されない労働環境

厚労省が行った平成25年度の障害者雇用実態調査によると、従業員規模5人以上の一般企業の事業所に雇用されている精神障害者の数は4万8千人。平成20年度に行った同調査の2万9千人と比べ、約1.7倍増えています。
しかし、勤続年数は4年3ヶ月と決して長く働けていると言えるものではありません。

さらに雇用賃金は、平成20年の調査の12万9千円より上がったものの、それでも15万9千円です。初任給は高卒で大体16万円、大卒で20万円であることを考えると、精神障害者の雇用賃金は低いです。しかも、就労支援事業の指定を受けた事業者は精神障害者を1人雇用するごとに、月に14~15万円の基本報酬を国から給付されます。

このことを踏まえると、精神障害者は一般企業からほとんど安い賃金しかもらえていないと言っても過言ではありません。

就労支援はまだましです。継続支援の場合ですと、工賃と呼ばれるものが支払われます。
厚労省が調査した平成24年度の平均工賃は約1万4千円です。これは時給に換算すると200円にもなりません。
このように、精神障害者の雇用における給与環境は決して十分なものとは言えません。

このように安いお金で雇用されているため、能力に応じた評価、昇進・昇格について精神障害者は不満を感じています。
また、身体障害や知的障害とは異なり、精神障害の場合は治療が終わっていたとしても無理をすると再発する危険性が常に伴います。
そのため、調子の悪いときに休みを取りやすくしてほしいという要望を持っています。
他にも、約80%の精神障害者が将来に対して不安を感じています。「仕事を続けられるかどうか」といった不安や、「老後の生活が維持できるか」と深刻に悩んでいます。

無理をすると再発の恐れがあるとはいえ、精神障害を持っている方も世の中で普通に働いています。例えば、ある有名なお笑い芸人もかつてうつ病だったことで有名です。

ここまで顕著な働きをしている方でなくても、精神障害を克服して働いている人はたくさんいます。

精神障害を持っていても、多少のケアと工夫があれば一般の方と同じように働ける人はたくさんいます。

一般の方と同様に働けるのなら、精神障害者も一般の方と同様の賃金をもらう権利が当然あるはずです。